家の中で、黒くて小さな虫が、壁際をちょろちょろと動いている。その姿を見て、「ああ、またアリか」と、油断してはいけません。その虫の正体は、アリではなく、ゴキブリの幼虫である可能性も、十分に考えられるのです。特に、孵化したばかりのクロゴキブリの幼虫は、その大きさと色、そして動きが、クロアリに非常によく似ているため、見間違えてしまう人が少なくありません。しかし、その後の被害の深刻度は、天と地ほどの差があります。アリであれば、食べ物に群がる不快さはあっても、家の中で爆発的に繁殖することは稀です。しかし、それがゴキブリであれば、放置すれば、家はあっという間に彼らの巣窟と化してしまいます。この二つの虫を、正確に見分けるための、いくつかの重要なポイントがあります。まず、最も分かりやすいのが「触角の長さ」です。アリの触角は、比較的短く、「くの字」に曲がっています。一方、ゴキブリの幼虫の触角は、非常に長く、自分の体の長さと同じくらいか、それ以上あり、しなやかな糸のようです。次に、「胴体の形」に注目します。アリの体は、頭・胸・腹の三つがはっきりと分かれており、特に胸と腹の間が、きゅっと細く「くびれ」ています。それに対して、ゴキブリの幼虫の体は、全体的に平たく、楕円形で、アリのような明確なくびれはありません。ずんぐりとした体型をしています。そして、「動き方」もヒントになります。アリは、仲間と一列になって、比較的ゆっくりと、整然と移動することが多いです。一方、ゴキブリの幼虫の動きは、よりランダムで、予測不能です。危険を察知すると、目にも止まらぬスピードで、一直線に隙間へと逃げ込みます。もし、あなたが見つけた小さな黒い虫が、「長い触角を持ち、くびれがなく、動きが異常に素早い」のであれば、それはアリではなく、ゴキブリの幼-虫である可能性が極めて高いです。その場合は、もはや悠長に構えている暇はありません。すぐに、本格的なゴキブリ駆除対策を開始する必要があります。
ゴキブリの幼虫とクロアリ、その見分け方