実家がゴミ屋敷と化し、その中心に母親がいる場合、家族だけで問題を解決しようとすることは非常に困難です。精神的な側面が複雑に絡み合っていることが多く、家族だけでは手の施しようがないと感じることもあるでしょう。このような状況でこそ、専門家の力を借りることが、問題解決への近道となります。では、どのような専門家がいて、どのように活用すれば良いのでしょうか。まず、母親の精神状態に不安がある場合は、精神科医やカウンセラーへの相談が最も重要です。うつ病や認知症、あるいはホーディング障害（ためこみ症）といった精神疾患がゴミ屋敷化の背景にあることは少なくありません。専門医による適切な診断と治療は、母親の精神的な回復を促し、片付けへの意欲を引き出す上で不可欠です。カウンセラーは、母親の心に寄り添い、物を溜め込む心理的背景を解き明かしながら、行動変容をサポートしてくれます。家族も一緒にカウンセリングを受けることで、母親への接し方や、問題への理解を深めることができます。次に、物理的な片付けや清掃に関しては、ゴミ屋敷清掃専門業者や遺品整理業者を活用することが非常に効果的です。これらの業者は、大量の物を効率的に運び出し、適切に処分するノウハウを持っています。また、特殊清掃や消臭作業にも対応してくれるため、衛生状態が著しく悪化している場合でも、安心して任せることができます。業者に依頼する際は、単に物を捨てるだけでなく、母親の意思を尊重し、必要なものと不要なものを仕分ける作業にも協力してくれる業者を選ぶことが大切です。母親が「捨てる」という行為に抵抗がある場合、専門家が第三者の視点で冷静に判断し、母親を説得する手助けをしてくれることもあります。さらに、地域の福祉相談窓口や社会福祉協議会、高齢者総合相談センターなども活用すべきです。これらの機関は、ゴミ屋敷問題に対する公的な支援や、利用可能なサービスに関する情報を提供してくれます。例えば、介護保険サービスや家事支援サービス、成年後見制度など、母親の状況に応じた様々なサポートがあります。地域の専門家と連携することで、家族だけで抱え込まず、多角的な視点から問題解決に取り組むことができます。